2020/11/18(Wed)山口県下関市でスパルティナの生育が確認されました

 2020年10月に、山口県下関市にスパルティナと思われる植物が生育しているという情報が当会に寄せられ、関係者を含めて現地の確認を行いました。場所は王司本町、亀浜町、千鳥浜町を流れる入川の河口と、その前面にある漁港です。入川では河口からおよそ330m程度上流の範囲にわたって分布していて、一部が支流にも広がっていました。

 この日は関係者にスパルティナの特徴や特性について説明するとともに、今後の防除について話し合いました。詳しい調査の結果、このスパルティナは、以前より日本に侵入している「ヒガタアシ(スパルティナ・アルテルニフロラ)」と同定されました。

2020/9/7(MON)“Frontiers in Plant Science”に研究成果が掲載されました

 ヒガタアシの国内侵入に関する研究成果が、植物科学における有力誌“Frontiers in Plant Science”にオンライン掲載されました。この論文では、ヒガタアシの侵入経路について明らかにするとともに、外来種侵入防止に関する効率的な水際対策を検討にも言及しています。

近畿大学、国立環境研究所、兵庫県立人と自然の博物館の共同プレス発表がされていますので、詳細はそちら確認してください。

 

リンク先:https://newscast.jp/news/3439579(近畿大学)

2020/3/2(MON)日本植物分類学会にて発表を行いました

【大切なお知らせ】

2018年11月に愛知県碧南市の堀川で確認されたスパルティナ属植物について、当会ではコヒガタアシ(Spartina anglica:スパルティナ・アングリカ)として報告していましたが、遺伝子分析の結果ヒガタアシ(Spartina alterniflora:スパルティナ・アルテルニフロラ)と再同定されたため、2020年2月~3月開催の植物分類学会にて発表しましたのでお知らせします。

 

碧南市堀川に侵入した植物は

・苞頴側面には明らかな微毛が生えている

・個体サイズや地下茎が短い

・実生の発生数も多い

 

 以上の点において、これまで日本で観察されたS. alternifloraと異なる特徴をもっていました。しかし、日本国内には十分な標本等の資料がなく、形態的観察には限界がありました。そこで碧南市堀川に生育する植物について、フローサイトメトリーによるDNA含量の分析、trnT-trnL領域のシーケンス、及びITS領域のRFLP分析を行いました。


・DNA含量はS. alternifloraと明確な差はなかった

・trnT-trnL領域のシーケンスで得られたハプロタイプは、S. alternifloraと100%相同であった

・ITS領域におけるRFLP解析の結果においても、S.anglicaとは異なりS. alternifloraと一致した

 

以上の結果を総合的に判断し、碧南市堀川の植物はS. anglicaではなく、S. alternifloraと再同定しました。ただし、形態的特徴は大きく異なるため、S. alterniflora中の既侵入系統とは異なる系統であると考えられます。

2020/1/26(SUN)2020年度総会・学習会を開催しました

 2020年度の総会・学習会を開催しました。当日は各発表において活発な議論がなされ、総合討論の時間が非常に押してしまいましたが、これまでの成果の振り返りや、新しい課題について整理することができました。

 学習会の実施内容は以下の通りです。皆様お疲れさまでした。

なお、本学習会は「あいち・なごや生物多様性2020連携事業」として登録して実施しました。

 

【2020年度日本スパルティナ防除ネットワーク学習会】

 

14:30~14:40 開会挨拶

 芹沢 俊介(日本スパルティナ防除ネットワーク 代表/愛知教育大学名誉教授)

 

14:40~14:55 発表① タイトル:「碧南市堀川集団のスパルティナについて」
演  者:花井 隆晃(日本スパルティナ防除ネットワーク)

 

14:55~15:10 発表② タイトル:「碧南市堀川集団の生態特性の解析」
演  者:森岡 哲也(名古屋工業大学)

 

15:10~15:25 発表④ タイトル:「熊本県大野川におけるヒガタアシの現状(2):分布拡大と駆除の現状」
演  者:松田 竜也(熊本大学くまもと水循環・減災研究教育センター)

 

15:25~15:40  発表③ タイトル:「熊本県大野川におけるヒガタアシの現状(1)

:時空間分布の把握と個体群動態」

演  者:山田 勝雅(熊本大学くまもと水循環・減災研究教育センター)

 

15:40~15:55 発表⑤ タイトル:「熊本県に侵入したヒガタアシの種子発芽特性」
演  者:早坂 大亮(近畿大学)


15:55~16:20 総合討議 題  目:「2020年までの成果の振り返りと今後の展開」
司  会:玉置 雅紀(国立環境研究所・福島支部)
話題提供:花井 隆晃(日本スパルティナ防除ネットワーク)


16:20~16:25 総   評 

 

16:30 閉   会